みなさん、こんにちは。ライターの佐藤です。
SAVON de SIESTA≪15周年記念企画》、
本日から8月31日までは創業記念セールを開催しています。
また、すべての参加者にプレゼントが当たるアンケート企画は
もう、ご覧になりましたか?
ほかにもオンライントークライブ&音楽ライブのご案内や
感謝の気持ちを込めた創業記念セールなど、
多彩な企画をとりそろえた特設サイトを、ぜひご覧ください。
▼詳しくはこちら
15周年特設サイト
さて、今回のブログも引き続き、
トークイベントのレポート記事をお届けします。
▼前回のブログはこちら
15周年記念トークライブvol.2のレビュー記事
15周年記念トークライブvol.1のレビュー記事
SAVON de SIESTA≪15周年記念企画トークイベント≫
7月に入ってから創業者であるツケシバアヤコさんと
オットのヒロユキさんが、初めて挑戦する
オンライントークライブを配信しています。
全4回シリーズは、現在、第3回まで終了しており、
そのアーカイブ動画は、YouTubeでもご覧いただけます。
▼アーカイブ動画はこちら
15周年記念オンライントークライブvol.1
15周年記念オンライントークライブvol.2
15周年記念オンライントークライブvol.3
ツケシバ夫妻が創業までの道のりを語った第1回、
ライターの一田憲子さんを交え、
夫婦の二人三脚をふり返る第2回を経て、
第3回のテーマは、ずばり、《夢の叶え方》。
15年前に“想い”以外は何もなかったSAVON de SIESTAが、
いかにしてその“想い”をかたちにして、夢を実現することができたのか?
アヤコさんが「メンター」とも慕うスペシャルゲストと一緒に、
その方法が明かされました。
それでは当日の模様を、一緒に見てまいりましょう!
第3回 誰もが《夢を叶える》ことができる!人生の地図について
ツケシバアヤコ×オット×
スペシャルゲスト(space1-15プロデューサー 堤曠龍さん)
定時になって始まったZOOMの画面を見ると、
おや? この日、ヒロユキさんは単身でオフィスからの配信ですが、
別画面に映るアヤコさんの後ろには、見覚えのある石鹸たちが並んでいます。
そう、そこはSAVON de SIESTAの直営店であるSiesta Labo.。
店頭からの配信のようです。その理由は……。
「今日のゲストは、このお店にすごく関わりのある方なので、こちらにお越しいただきました!」
そう言って、アヤコさんがお招きした人物こそ、札幌でいくつもの素敵なショップづくりに関わってきた空間プロデューサーの堤ひろたつさん!
(zoomでの堤さんとアヤコさんのツーショット)
Siesta Labo.やお隣のカフェAtelier MORIHIKOさんをはじめ、堤さんがこれまでに手がけたショップは、くさかカバン店や座忘庵、SABOT、喫茶つばらつばら…と、どれも熱心な固定ファンがついている人気店ばかり。
個性派ショップオーナーや空間プロデュースに関わるひとたちの間では、“知るひとぞ知る”著名人ですが、普段は人前に出ることはめったになく、こうしてトークイベントに出てきてくださるなんて夢のよう!
「えっ、あのツツミさんがトークイベントに出る?しかもオンラインで?」と驚く声が聞こえてきそうな、スペシャル感満載の第3回となりました。
ということは、堤さんにとってSAVON de SIESTAのツケシバ夫妻はそれだけ“応援したいふたり”だということなのでしょう。
画面には、アヤコさんと堤さんの“師弟ツーショット”が映り、ふたりとも少しはにかみながらも、うれしそう。見ているわたしたちの頬も思わず、ゆるみます。
アヤコさんが、堤さんが企画する起業塾「創塾」を初めて知ったのは、2005年のこと。本州の製薬会社を退職し、ヒロユキさんと結婚して札幌にUターン。「手作り石鹸でお客様を幸せにしたい!」という夢をどう実現したらいいのか、考えあぐねていたときのことでした。
学生時代から通っていたカフェでたまたま目にした、カフェや雑貨ショップを始めたいひと向けの起業塾のチラシを頼りに、アヤコさんは堤さんとの面談へ(あとで知った話では、そのカフェも堤さんプロデュースのお店でした)。
初対面の当日、堤さんはアヤコさんの第一印象をこう、ふり返ります。
「とってもまじめで、一途なひとだと思いました。それに夢があるひとは概して、自分のことばかりを語りがちですが、彩子さんはひとの話を聞けるひと。その気持ちの広さに、“こういうひとと一緒にやれたら楽しくなるぞ”という気持ちがわきあがってきました」。
アヤコさんのほうも、堤さんの豊かな人生経験と深い審美眼から紡ぎ出されるお話に感銘を受け、「この塾に入れば、わたしの人生が変わる!」という強い気持ちで入塾を決意。ここからふたりの師弟関係がスタートします。
専門学校の講師も務めたことがある堤さんが、オーナーの卵やクリエイターたちに提供したいのは、「チャンスとタイミング」。「みなさん、想いややる気があってもそれを仕事にして、人に認めてもらうのがむずかしい。そのためにはやはり、先に歩いているひとが手を貸さないと。それがぼくの役目だと思っています」。
堤さんの起業塾に入るには宿題があり、それは「人生の地図をつくること」。0歳から現在にいたるまでの過去の出来事と、現在・未来(何歳で生を終えるかまで!)の目標、それに伴う感情のアップダウンを描く「人生曲線」を提出することになっています。
ところが、当時のアヤコさんは「つくれなかった」と打ち明けます。自分に自信がなくて、未来の展望が描けない……。その後、塾を卒業したアヤコさんは念願の石鹸屋を個人事業主で立ち上げ、ウエブショップを開業。堤さんが塾生たちのために開いてくれた街中のセレクトショップで石鹸を販売することもできて、ビジネスは順風満帆……のはずが「このとき、いろいろなことが重なって、気持ちががくっと落ち込んだんです」。
(創業当初の石鹸工房でのアヤコさん。当時の工房は札幌市北区の小さなマンションの一室にありました)
(SAVON de SIESTA創業初期の製品写真。左は白樺石鹸、奥はオーガニックコットンタオル)
そのときにふと、思い出したのが、堤さんがすすめてくれた「人生の地図づくり」。あのときは書けなかったけれど、今から10年くらい先の未来までなら書けるかもしれない。そう、思い立ったアヤコさんが記した内容がこちらです。
30歳(2008) 直営店をつくる
35歳(2013) 石鹸を選びながらつくっているところを実際に見てもらえる路面店をつくる。カフェを併設
40歳(2018) お客様も働くスタッフもみんな笑顔で過ごせる『場」をつくる
「彼女がぼくにそれを見せてくれた時点で、アヤコさんは29歳と半年くらい。“えっ、あと半年で直営店をつくる?無理なんじゃないの?”と驚きました」と述懐するヒロユキさん。いつもは“思い立ったらすぐ行動!”のヒロユキさんを引き戻すのがアヤコさんの役割ですが、このときばかりは立場が逆だったと笑います。
「でも、できたんです」。
(space1-15の外観。人通りの少ない仲通りにある8階建ての古いマンション。外に看板は無い)
それが、札幌市中央区の南1条西15丁目にある築40年(!)のマンション、シャトー・ルー・レェーヴの各部屋でさまざまな個人オーナーがお店を構える、画期的なショップ空間「space1-15」(スペース イチイチゴ)。
現在も20を超える個性派店主が思い思いのショップを展開し、週末になれば、お目当てのショップを目がけて、お客さまがいそいそと足を運んでいます。
2007年の秋、その空間プロデュースを手がけることになった堤さんが、アヤコさんと道でばったり再会したのも、なにかの導きだったのでしょうか。
久しぶりに会ったふたりは互いの現状を共有し、それまで札幌にはなかったクリエイティブな空間をつくろうとしている堤さんの話を聞いたアヤコさんは、落ち込んでいた気持ちが急上昇!
新しい空間のシンボルとなるようなショップを探していた堤さんも、「一緒に歩くならこのひと」と思いさだめていたアヤコさんの賛同を得て、この運命的な再会を喜びます。
一方、驚いたのはヒロユキさんです。人生の地図を見せられて数週間後に「お店、もう決めたから。契約もしてきたので、物件を見に来て」というアヤコさんの報告を受けて「えええっ?」。思わぬ急展開に目を丸くするばかり。
堤さんとツケシバ夫妻でマンションを下見に行ったときも、「築40年の決して綺麗とは言えない外観のマンションで、立地は人通りの少ないひっそりとした仲通り。しかも中に入るにはインターフォンを鳴らした先でオートロックを解除してもらうという手間がかかるし、目立った看板もつけられない……
そんなマンションを出店場所として“いいでしょう!”と喜ぶ堤先生もアヤコさんも、いったい何を考えているのだろう、という不安しかありませんでした」。
ところが、そんなヒロユキさんの不安を払拭してくれたのもまた、堤さんでした。
「ヒロユキくん、いま街中にある商業ビルや路面店は、お客さまがふらりと入ってきては出ていくだろう。あれは“店”とは言わない、“通路”なんだ。本当の“お店”というものは、お客さまがそこを目的に“ごめんください”と訪れて、店主との会話が弾む。その会話のなかで新しい発見や学びを得て、最後は“これ、もらっていこうかな”という気持ちが交わされるコミュニケーションの場。これからつくる空間は、そういうお店が成立することを見てもらうためのモデルケースになる。そこにアヤコさんの力を貸してくれないか」。
この言葉に心をわしづかみにされたヒロユキさんは、マンションに着いたときとはまるで別人の心持ちに。「きっと、すごくいい空間ができあがる!世の中のお店が変わるかもしれない!」という興奮に包まれたといいます。
「堤先生がおっしゃった“誰もやったことがないことの成功例になる、そこに力を貸してほしい”は、わたしにとって殺し文句(笑)。ぜひお手伝いさせてほしい!という気持ちになりました」
こうしてアヤコさんの「人生の地図:30歳で直営店」が実現し、走り始めた「space1-15」は、営業面でもかなりチャレンジングな試みに挑んだ場所でもありました。
営業時間は毎週木曜から土曜の3日間で、しかも午後1時から6時までの5時間! 週1日定休日が当たり前だった時代に、1週間のうち、週末の15時間しか店を開けないという驚愕の営業スタイルに、誰もが目を見張りました。
(space1-15にオープンした初期のSiesta Labo.店内の様子)
この限定された営業時間も、「個人オーナーが店を長く続けるのはとても大変なこと。週の1日は企画に使い、1日は勉強をして、1日は家族に使い、1日は自分のために使う。そうすると営業日は必然的に週3日になる」という、堤さん独自の店舗経営哲学から生まれたもの。
「ワークライフバランス」という言葉がまだ知られていない当時からすでに、経営者であると同時に生活者であるオーナーの暮らしと仕事の両立を目指した堤さんの先見の明に、驚かされます。
ちなみに2020年現在のSAVON de SIESTAのオフィスでは、この「space1-15」でのSiesta Labo.時代から愛用しているテーブルが今でも使われています。空間の半分は通常の店舗ディスプレイにし、もう半分はワークショップやイベントにも使える空間にするために、堤さんがアヤコさんに用意した私物のテーブルが、いまもアヤコさんの成長を見守っているのです。
そして、ここでもう一度、「ツケシバヤアコ 人生の地図」を見てみましょう。そこに書かれている次の夢は――。
「35歳(2013) 石鹸を選びながらつくっているところを実際に見てもらえる路面店をつくる。カフェを併設」。
「space1-15」での日々がまわりだし、じきに35歳を迎えるアヤコさんに、ふたたび転機が訪れます。
「もともと、いまのお店がある場所には、わたしも大好きだった雑貨屋のチョロンさんが入っていました。オーナーの佐々木智子さんとも仲良くさせてもらっていて、いつも前を通るたびに、オットとふたりで“こういう空間でうちもお店がやれたらいいよね”と話していた憧れの場所でした」。
その佐々木さんから、ある日「お茶しない?」と誘われたアヤコさん。「チョロンをたたむので次に入りませんか?」という衝撃の申し出に、思わずコーヒーを落としそうになったといいます。
(現在のSiesta Labo.が入居するASビル外観)
電車通りの路面店という好立地プラス、店の奥に工房が作れる広さで、しかも隣りには既にカフェが併設する憧れの場所に、自分たちのお店を開けるって、本当に?
願ってもない話にアヤコさんは、すぐにヒロユキさんに相談メールを送り、ヒロユキさんも「やるしかない!契約しよう!」と間髪を置かずにレスポンス。夢が大きく動いた瞬間でした。
(現在のSiesta Labo.の内観。カフェ『Atelier MORIHICO』と天井の高いゆったりとした空間を共有している)
その一方でアヤコさんが心を痛めたのは、やはりお世話になってきた「space1-15」のこと、堤さんのこと。「space1-15」を象徴するような存在だったSiesta Labo.の移転に加えて、事務局のまとめ役も卒業させてもらう心苦しさがあったといいます。
堤さんもこの話を聞いたときは、「本音を言えば、残ってほしい気持ちはありました」といいながらも、「アヤコさんは決断したら揺るがないひとですし、周囲が力を貸してくれる素直さもある。それに本人の決断もさることながら、ヒロユキさんの“よし、やろう!”という応援が心強かった。わたしが以前から大事にしているチャンスとタイミングがそろった話なので、移転は正しい決断だと思いました」という親心にも似た寛容さで、ふたりを快く送りだしてくれました。
(お店の奥の大きな窓からは、工房で石鹸をつくっている様子が見える)
(SAVON de SIESTAのプロモーション動画。最初のシーンはお隣のカフェAtelier MORIHICOさんで撮影)
現在、40代に入ったアヤコさんは、「40歳(2018) お客様も働くスタッフもみんな笑顔で過ごせる「場」をつくる」という夢も徐々にかたちになってきたことに、大きな喜びと手ごたえを感じています。
(昨年は一田憲子さんのワークショップ『おへそ塾』、今年は整理整頓アドバイザーのOUR HOME Emiさんのトークイベントやワークショップを行った。写真右側は創業15周年を迎えた2020年8月1日に紅白饅頭を届けてくれたニセコ和菓子工房松風の渡辺麻里さんやショップスタッフとともに撮影)
▼参考(プロモーション動画)
企画展 輝きのヒント “美しい笑顔になれる暮らし方”
企画展OUR HOME “ちょうどいい”暮らし
そして最後に、視聴者のみなさんに向けて「どうしてもお伝えしたい、わたしが忘れられない堤先生からいただいた言葉」をふたつ、紹介します。
ひとつめは「20代はたくさんの経験をした種を蒔くこと、30代はそれを育てて引き出しを増やすこと、40代は得てきたものを次のひとに伝えられるようにすること」。
そしてもうひとつは、「自分ファーストで決断しなさい。なによりも自分を大切に」という金言を、わたしたちにシェアしてくれました。
とくに後者は「自分が幸せでなければ、お客さまや家族、仲間に幸せを届けることはできない」という堤さんの人生観が込められており、自分のことはあとまわしにしがちだったアヤコさんの心に深く響いたといいます。
このように、「人生の地図」を書くことで夢を叶えてきたアヤコさんをかたわらで見つめてきたヒロユキさんも、「ハーバード大学で1979年から行われた研究調査によると、目標をもっていない学生(全体の84%)に対して、目標を持っているが紙には書いていないと答えた13%の学生は卒業して10年後、目標を持っていない卒業生の2倍の収入を得、さらに目標を紙に書いていた3%の学生は、残り97%の卒業生の10倍の収入を得ていたそうです」(出典元:MARK H.McCORMACK “What They Don’t Teach You at Harvard Business School”)と、補足。
数多くのショップオーナーを見てきた堤さんだからこそ、たどりついた「目標を図表化して、いつも目に付くところに貼りだす」メソッドの正しさをうったえると同時に、「いま、夢をお持ちのみなさんもぜひ、試してみてください」と呼びかけ、1時間の配信を終了します。
以上が、
SAVON de SIESTA≪15周年記念企画トークイベント≫の第3回、
誰もが《夢を叶える》ことができる!人生の地図について
ツケシバアヤコ×オット×スペシャルゲスト(space1-15プロデューサー 堤曠龍さん)
のダイジェストです。
実は最初に、アヤコさんが起業塾の相談をしたときのヒロユキさんの意外な返答や
堤さんとアヤコさんの信頼関係がじんわりと伝わってくるふたりの表情など
ここに書ききれなかった内容はぜひ、YouTubeのアーカイブ動画でお楽しみください!
▼トークライブvol.3のアーカイブ動画はこちら
さあ、残すところは、8月22日(土)の最終回!
スペシャルゲストは、
ツケシバ夫妻と同じく、家庭も仕事も共有しながら
今や日本を代表するイベント企画会社となった、
手紙社の北島勲さん・渡辺洋子さんのおふたりです。
どんなお話が飛び出すのか、楽しみな夫婦対談、ふるってご応募ください!
●第4回 これからわたしたちは、何を目指すのか?
ツケシバアヤコ×オット×スペシャルゲスト(手紙社 北島夫妻)
日時:2020年8月22日(土)11:00-11:45→予約受付中
◆執筆担当者紹介◆
佐藤優子(フリーライター)。札幌育ち。市内の求人情報誌で編集・取材・執筆の基本を覚えて、独立。北海道のものづくりや書店・出版社を応援。伊丹十三と翻訳家の岸本佐知子さんのエッセイ、野田秀樹の芝居が大好き。文章も暮らしも「むずかしいことをやさしく」(by井上ひさし)でいきたいです。
★お知らせ★
15周年にたくさんのイベントをご用意しています!詳しくはこちらの特設サイトをチェックしてみてくださいね。