SAVON de SIESTAのコンセプトである「毎日の暮らしに、ココロがホッとするひとときを贈る」。この特集「輝きのヒント」では、このコンセプトに共鳴する暮らし方や仕事をしているステキな方々をご紹介してまいります。
(渡辺麻里さん。ニセコの和菓子工房の窓から)
SAVON de SIESTA15周年企画では特製の紅白饅頭を作っていただくなど
企画展限定和菓子やワークショップなどでもおなじみの
ニセコの森の中にある「和菓子工房ニセコ松風」の渡辺麻里さん。
前編は生い立ちやこの仕事との出会いをうかがいました。
後編では、札幌での活動やSAVON de SIESTAの愛用品、
そして「輝きのヒント」を探ってまいります(記事執筆:フリーライター佐々木理恵)。
▼参照
【輝きのヒント】vol.03 和菓子職人 渡辺 麻里さん(前編)
心の余裕から気づく、自分を見つめ直す時間の大切さ
vol.03 和菓子職人 渡辺 麻里さん
―前編では子どもの頃から憧れていた和菓子職人になるという夢を叶え、自分らしいスタイルを模索しながら進み続けた渡辺さんが、ニセコに拠点を移されるところまでお話をうかがいました。
後編は札幌のspace1-15に工房をオープンしたところからお話をうかがってまいりましょう。
渡辺 ニセコでお店を営んでいる親しい方々と、札幌にも拠点があるといろいろなことができていいよね、という話をしていて、それを私の和菓子教室に通っていたSAVON de SIESTAのスタッフさんにちらっとお話をしたんです。そしたら、それを知ったアヤコさんから連絡がきて、「麻里さん、その話、どれくらい本気なの?」って(笑)。
アヤコ その頃はまだSAVON de SIESTAがspace1-15にお店(直営店Siesta Labo.)を構えていた時期で、私がビルの管理も担当していました。ビルに空き部屋がでて、プロデューサーをしていた方に「だれかいい人いないかな」と相談されたときに麻里さんの話を聞いて、「松風の麻里さんがいいと思うんですけど!」って言って、麻里さんにすぐ連絡をしました。私は麻里さんが作るお菓子はもちろん、人柄も大好き、そして決まったあとの実行力がものすごくある。だれかに「いい人いませんか」って聞かれると、まず紹介したくなっちゃうんです。麻里さんはいろんな人に紹介したくなる魅力がある方です。
渡辺 お話をいただいたときはニセコから札幌まで距離もあるし、大丈夫かなという不安はありました。夫にも心配されましたが、space1-15で工房をやりたいという気持ちが大きくなっていって、夫の心配をよそに私がガンガン話を進めちゃいました。アヤコさんは、私のことをいつもきゅんっと引っ張ってくれる。さっぽろ工房のときもそうですが、雑誌「暮らしのおへそ」の掲載や7月に手紙社「GOOD MEETING」で開催したオンライン和菓子教室など、アヤコさんはいろんなところできゅんっと引っ張ってくれるんです。
アヤコ 手紙社のオンライン和菓子教室では、抹茶のわらび餅の作り方をzoomを通して習うことができたのですが、手元などいろいろな角度から作り方を見られて、パソコン越しだけど臨場感がありました。そして、和菓子の作り方だけではなく、ニセコの紹介もしちゃうという麻里さんの余裕に、さすがだな〜って思いました(笑)!
(space1-15にある「和菓子工房ニセコ松風」のさっぽろ工房)
(今回の記事の取材は、space1-15のさっぽろ工房で行いました)
―2015年にspace1-15に「さっぽろ工房」をオープン。SAVON de SIESTAでは企画展に合わせた和菓子販売やワークショップなどを通して、松風の四季のめぐりを感じる和菓子をご紹介しています。和菓子と石鹸と作るものは違うけれど、どこか似ている渡辺さんとアヤコさん。このインタビューを通して、人を惹きつける魅力とお二人が放つ空気感がそう感じさせるのだと気がつきました。
アヤコ 麻里さんの和菓子教室に行って、そのあとシエスタラボに寄ってくださるお客様がとても多いんです。「今日はこれを作ったの」と見せていただけるのが、とても楽しみなんですよ。
(Siesta Labo.で開催した和菓子作りのワークショップの様子)
(ワークショップでつくったウサギの饅頭)
渡辺 SAVON de SIESTAと松風、作っているものは違うけれどお客様が繋がっているというのは、私もとてもうれしいです。私たち、波動が似ているんですかね(笑)?
アヤコ そういえば、はじめて会ったときから話が合いましたよね、健康のこととか(笑)。
オット ぼくから見ても、二人は結構似ていると思いますよ。麻里さんが仕事で喜びを感じるときはどんなときですか?
渡辺 和菓子教室に来ていただいたお客様が「家でも作りました!」と言ってくださったときや、ご注文いただいたお菓子がきれいにできたとき、いいレシピが浮かんだときなど、いろんなシーンで感じますね。和菓子づくりで気をつけているのは、時代に合わせて常に進化していくということ。今は時代によって好みなどが変わりやすいので、時代の空気を読みながら進化したいです。でも、あまり奇をてらったものは好きではないので、“松風らしさ”は大切にしていきたいですね。
オット 松風らしくあるために、大切にしていることはありますか?
渡辺 私のテーマは“ワクワク”。たとえば箱詰めのお菓子だったら、箱を開けた時にみんながわっと笑顔になるようなデザインや色合いのお菓子を心がけています。あと、身体を整えるということは常に気をつけていますね。和菓子教室のときは自分の気分がのっていないとお客様にも楽しんでもらえないと思うので。
アヤコ 身体の不調って気分に出ますよね。私は冷えに弱いんですが、エアコンが効いた場所でサンダルを履いていたら身体が冷えてしまい、気分も落ちてしまって。
オット そのときに妻の写真をブログ用に撮影しようとしたんですが、不調が全身から滲みでていて一枚も使えなかったんですよ(笑)。石鹸や和菓子のようにSAVON de SIESTAも松風もカタチがあるものを売っていますが、麻里さんがお話されたように、波動や気、思いという目に見えないものが実は一番大切だと思うんです。これに共感したくださったお客様が、自然とお店に集まってくださっているのかもしれませんね。
アヤコ 私は麻里さんのお菓子を食べると、背筋が伸びるような気持ちになるんです。疲れたときに食べるとしゃんっとして、気持ちを整える手伝いをしてくれる。お菓子を用意して、お気に入りのお茶を淹れて、自分の時間を作るきっかけを作ってくれるお菓子です。
渡辺 そう言っていただけてうれしいです!
(ニセコの和菓子工房で仕事をする麻里さん。「お客様に教室を心から楽しんでいただくために、まずは自分の身体を整えることが大切だと思っています」)
―渡辺さんの人を元気にしてくれるあたたかさと自然体の心地よさが、松風のお菓子にたくさん詰まっているのですね。さて、ここから先は《SAVON de SIESTAこれがわたしの愛用品》のご紹介をお願いします。
渡辺 今年本当にお世話になったのが「モリンガパウダー」です。
(SAVON de SIESTAで販売している『モリンガパウダー』。すべての可食植物の中で最も栄養素が多く、森のミルクと呼ばれるスーパーフードとして世界的に人気の食材)
渡辺 1月にひどい風邪をひいて、さらに花粉症からくる気管支炎喘息も発症してしまい、はじめて和菓子教室をお休みしてしまいました。とにかく身体の調子が悪かったのでどうしようと思っていたら、以前SAVON de SIESTAの「モリンガフェア」で作ったどら焼きに使用したモリンガパウダーが頭を過ぎりました。モリンガパウダーは花粉症やアレルギーに良いということを思い出し、それから毎朝お湯に溶かして飲むようにしたんです。そうしたら、慢性化していた鼻炎もよくなって、さらに今年は花粉症がとても楽でした。身体の調子が劇的に良くなったんです。
アヤコ 抹茶みたいにきれいな緑色だから、どら焼きなどお菓子の材料に加えてもきれいですよね。
渡辺 あとはバスソルトやシトラスのルームフレグランスも愛用しています。フレグランスは寝室に置いているのですが、部屋に入った瞬間にいい香りだとリラックスできて気分も切り替えができます。私は自宅兼工房でプライベートと仕事の場所が一緒でなかなか気分を切り替える場がないのですが、香りが切り替えのスイッチになっていますね。
(渡辺麻里さん「モリンガパウダーを飲むところから、私の一日ははじまります」)
(小さじ一杯のモリンガパウダーを抹茶のようにお湯でといて飲みます)
―最後の質問になりますが、2020年は新型コロナウイルスの感染拡大により、さまざまな変化が求められる年となりました。松風として、なにか変化したことはありましたか?
渡辺 以前は和菓子教室や出張、イベント出店など、スケジュールぎちぎちに仕事を入れていました。でも、新型コロナの影響で仕事をお休みしてスケジュールに余裕が出ると気持ちにも余裕が出て、あれやりたいこれやりたいっていうひらめきが出てきたんです。こうやって仕事と暮らしのバランスをとっていきたいなと、自分を見つめ直す時間になりました。気持ちに余裕があると、夫婦仲も良くなるし、新しいアイディアも出てくるし、いいことしかないんですよね。先日はオンラインを使って和菓子教室を開催させていただきましたが、オンラインを利用するなど仕事の時間の使い方を工夫すれば、自分の時間も生まれるということがわかったので、これからは工夫をしながら仕事にも暮らしにも余裕をもって取り組んでいきたいなと思っています。
オット 麻里さんにとっては気持ちの余裕を持てる時間が、SAVON de SIESTAのコンセプトにある「ココロがホッとするひととき」なんですね。
渡辺 そうですね。そして、オンラインは余裕を生むだけではなく、遠くの方と繋がる楽しみを教えてくれましたので、今後も続けていきたいと思っています。また、最近は和菓子作り材料キットの販売をスタートしました。材料とレシピ、作り方動画がセットになっていて、第一弾はどら焼きです。今後もおうちで気軽に和菓子作りが楽しめるさまざまなキットを販売したいと思っています。
アヤコ とても素敵で楽しそうな試みですね。私も早速作ってみます!
(ニセコ松風の和菓子作り材料キット第一弾はどら焼き)
(丁寧なレシピと動画で解説してくれるので、おうちにいながら和菓子教室に通っている気分になれる)
(中には厳選した和菓子の素材が入っている)
(誰でも簡単に、美味しいどら焼きをつくることができます。これからSAVON de SIESTAでのお取扱いも予定しています)
渡辺麻里(わたなべ・まり)さん
札幌出身。大阪あべの辻製菓専門学校卒業後、札幌の和菓子店に勤務。カフェや料理教室のアシスタント等を経て、2006年に定食と和菓子の店「pippinと松風」をオープン。2008年に二セコに移住して「和菓子工房ニセコ松風」をスタート、2015年にはシャトー・ル・レェーヴに「さっぽろ工房」をオープンし、完全予約制の和菓子教室やイベント出店などを行う。著書に「ニセコ松風のかわいい和菓子 森の工房が教える おうちでできる最高レシピ」など。
【関連リンク】
・和菓子工房ニセコ松風 (公式サイト)
・オンラインショップ (和菓子作り材料キット販売サイト)
・15周年記念の紅白饅頭を紹介した記事
・15周年記念特設サイト
・【輝きのヒント】vol.03 和菓子職人 渡辺 麻里さん(前編)
◆執筆担当者紹介◆
佐々木理恵(フリーライター)。札幌市出身。札幌の出版社で雑誌編集を務めたのち、フリーライターとしてタウン誌やフリーペーパー、Web記事など、食や暮らしにまつわる記事の執筆を手がける。趣味は食べること、インテリア、キャンプ。