【輝きのヒント】片づけの先を見つめて | 戸井 由貴子さん(前編)

SAVON de SIESTAのコンセプトである「毎日の暮らしに、ココロがホッとするひとときを贈る」。

この特集「輝きのヒント」では、このコンセプトに共鳴する暮らし方や仕事をしているステキな方々をご紹介してまいります。

先月より、インスタライブでも一田憲子さん、後藤由紀子さん、OURHOMEのEmiさんをはじめ、8人の方に素敵な笑顔になれる暮らし方のヒントをご紹介いただきました。

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輝きのヒント (You Tube)

今回は、企画展『tamakiniime 春夏展』でパーソナルカラー診断を担当くださったり、ツケシバ家、SAVON de SIESTAのオフィスなどの整理整頓でも大変お世話になっている戸井由紀子さん。

戸井さんは、片づけの専門家として「ライフオーガナイザー」の協会認定講師資格を持ち、
札幌でその普及や育成にも力を注いでいらっしゃいます。

ライフオーガナイザーって何?この仕事との出会いは?
2回に渡ってお届けする戸井さんのインタビュー、まずは前編をお届けします。

テレワーク(在宅勤務)などで、ご自宅の整理整頓やインテリアを見直す方が増えている中、戸井さんのお話はきっとみなさまの参考になると思います。

-片づけの先を見つめて-
困っているひとをほうっておけない、整理下手でした
vol.04 ライフオーガナイザー 戸井 由貴子さん

―札幌生まれ・横浜育ちの戸井さん。小さいころはどんなお子さんでしたか?

戸井 自然が多いところで育ちましたので外で遊ぶのが大好き。カブトムシ、クワガタ…虫もいっぱい飼っていました。今、緑が多い札幌に住んでいるのも小さいころに自然の中で遊んだ思い出が影響していると思います。
それともうひとつ覚えているのは、いつも明日のことが心配でした。「なにか忘れ物はしていないかな」と何度でも確かめたい子どもでしたね。

―ご家族で香港・シンガポール暮らしを経験されて、高校から単身で日本に帰国。大学は慶應義塾大学の文学部心理学科に進まれました。

戸井 小さいころから「困っているひとをほうっておけない」という思いはつねに自分の中にありました。ただ、学生のときはまだ相手の悩みを正面から受け止めることができなくて、同じ心理学のなかでも動物実験を中心とする行動分析を専門にしました。
お世話になった先生がハトにピカソの絵とモネの絵を区別させて、1995年にイグ・ノーベル賞を受賞された現・慶応義塾大学名誉教授の渡辺茂先生だったので、多少変わったことをしても許されたんです(笑)。卒業論文は「文鳥がバッハとストラヴィンスキーの音を聞き分けられるか」。すごく楽しい学生時代でした。

―卒業後は外資系製薬会社のMRに。抗うつ剤など精神科領域の薬がご専門でした。

戸井 本社は東京だったんですが担当が北海道大学だったので札幌に帰ってくることになり、朝から晩まで北大にいました。
ツケシバ 戸井さんが北大に通っていた時期、ぼくたちふたりとも大学院に在籍していましたから、きっとキャンパスのどこかですれ違っていたかもしれませんね。

―そして、MR時代に知り合った方と結婚後、アメリカで2年間暮らし、現地で長女を出産。

戸井 独身時代は家の中をそんなに真剣に片付けなくても生きていけますし、勉強も仕事もひとまず自分の努力でなんとかなってきたと思うんです。でも専業主婦になって、目の前に子どもがいることで生まれて初めて、家事や暮らしに直面しました。
もともと家庭的なことに苦手意識もあって、この時は本当に“暗黒時代”。世の中のおかあさんたちはきちんと“おかあさん業”をやっておられるんだから、わたしができないわけがない。そう思いながらも、実際には全然できませんでした。謙遜じゃないんです。詳しくお話できないくらい、家の中が本当にすごかったんです。その葛藤に苦しんだ時期でした。

そこから抜け出したくていろんなブログを見ていくうちに、たどり着いたのがライフオーガナイザーの鈴木尚子さんのブログでした。ただ、ブログを読んだからといってすぐに行動に移せたわけではないんです。きっかけをくれたのは亡くなった祖父でした。
突然入院したと思ったら一週間後に亡くなりまして、そのときにこの“一週間後に急に…”という状況を我が身に置き換えると、ちょっとマズイぞと。家も片付いていないですし、まだまだやりたいこともいっぱいあります。いまのままではいけない!とようやく重い腰をあげて、講座に通うようになりました。祖父のおかげですね。2013年のことでした。

―整理収納や断捨離の専門家と同じように、片付けのエキスパートである「ライフオーガナイザー」。

戸井 残念ながら認知度はまだまだ低いと思います。うんとかいつまんでご紹介しますと、ライフオーガナイザー2級の講座に「あなたが大切にしていることはなんですか?」という質問があるんですね。なんでそんなことを聞くんだろう?と思いますよね。自分は片付けの方法を習いに来ただけなのに、と。
でもライフオーガナイザーが声を大にしてお伝えしたいことは「片付けはあくまでも手段で、大事なのはその先。あなたがどんな暮らしをしたいのか。その答えにあわせた環境を整えていきますよ」ということなんです。

では、その質問をされた当時のわたしがなんと答えたかというと、実は最初何も浮かばなかったんです。「大切なこと?あれ、なんだろう」と、答えがすぐに浮かばなかったこともショックでした。ふり返るとわたしの母も専業主婦でしたし、社会人になってからも“働くおかあさん”がまわりにいなかったので、わたしのなかで“おかあさん”とは家庭のためにすべてを捧げる自己犠牲の象徴のような存在。
「大切にしていることは?」と聞かれ、衝撃がおさまったあとはもちろんすぐに「家族」と書きましたが、でもあとで考えると、それって本当かなと。
わたしが家族のため、子どものためと思ってやっていたことは実はひとりよがりの自己犠牲で、実際は家族にその気持ちが伝わっていたとは言いづらい。ということは結局、自分のことも家族のことも大切にできていなかった。そのことにようやく気づけたんです。
そこから勉強を続けて、誰もが持つ「利き脳」の特徴を知ることもおもしろかったですし、思考の整理の仕方がすごく自分にフィットして、現在にいたります。

アヤコ わたしが戸井さんを通して知ったライフオーガナイザーの勉強をしようと思ったきっかけは、夫(ツケシバ)と話していて「どうしてこんなにわかってもらえないんだろう?」と思ったから(笑)。
それが講座に通って利き脳やそれに伴う思考パターンを知ると、「なんだ、そうだったのか!」と驚くことばかり。

ツケシバ ぼくも妻に勧められて2級の講座を受けていますが、戸井先生の話を聞きながら妻のことばかり考えています(笑)。お互いに「なんでこういうことができないんだろう」と思うことや「どうしてあんな言い方をするんだろう」ということが、ふたりの利き脳の違いを知ると「そういうことか!」と霧が晴れたようにわかってきた。
戸井 彩子さんの利き脳は、情報のインプットが理論重視の「左脳」で、アウトプットも「左脳」。一方、附柴さんの効き脳はインプットもアウトプットも直感的な「右脳」。「左・左」の奥さんと「右・右」の旦那さんという対極にあるご夫婦です(笑)。この違いを抱えながらお仕事まで一緒、というおふたりは、わたしにとって目が離せない存在です。

―ライフオーガナイザーを仕事にしようと思ったきっかけはなんだったんですか?

戸井 1級講座の最後に、よそのお宅を片付けるという実地試験があり、ママ友のお宅をやらせてもらいました。そこで家の中が片付いたあと、なにか思うところがあったのか、わたしと同じ専業主婦だった彼女が「わたしもまた、働いてみようかな」と言い出して、本当にエステ業界に復職したんです。
その姿を目の当たりにして、そこまで人を変えられるこの仕事を札幌でやっていきたい!と思い、2014年1月から個人事業主として始めました。

2019年に法人化したのは、このライフオーガナイズの考えをさらに多くの人に知ってもらうため。整理収納や断捨離、近藤麻理恵さんのメソッドのようにいろいろな考え方があるなかで、「自分で選んで人生を変えられる方法」があることも知ってほしい。
「片付けって女性の趣味の延長でしょう?」と思いこみがちな男性のみなさんを意識して、法人化後は企業向けのサービスも新たにつくりました。

社名「OPT LIFE」のOPTは英語で「選択する」という意味です。ご自分で暮らし方を選択して、その最適化に向けてわたしどもがお手伝いする。“片付けのその先”を豊かに過ごしていただきたいという思いをこめて「OPT LIFE」と命名しました。

―ご自分の生い立ちと今のお仕事に就いておられることはリンクしていますか?

戸井 インタビューの冒頭で「いつも明日のことが心配で、忘れ物をしていないか気になる子どもだった」と言いましたが、いま思うとそのときに感じていた生きづらさと、大人になってからも持ち続けた家事や片付けに対する苦手意識は無関係ではなかったと思います。
そこに「困っているひとをほうっておけない」という、つねに自分の中にある気持ちと、心理学や精神科領域薬のことを学んだ経験がすべて縒り合わさって、ライフオーガナイザーという選択肢にたどりついたのかな、と感じています。あ、でも全部、今になって思えばで、基本は行き当たりばったりなんですけどね(笑)。

―「自分は片付けられない」と思っているひとたちにも勇気がわいてくるようなお話、ありがとうございました。後編は、ツケシバ夫妻との出会いやSAVON de SIESTAの愛用品についてもお話をうかがってまいります!

戸井由貴子(とい・ゆきこ)さん
札幌出身。慶応義塾大学で心理学を専攻後、外資系製薬会社で精神科領域薬を担当。退職後、子育てや家事に悩む中、ブログで知った「ライフオーガナイズ」を学ぶ。2014年から個人事業を始め、2019年に株式会社OPT LIFEとして法人化。自宅訪問作業やPTA、企業を対象とする講師を務め、「もっと気楽に、身軽に、豊かに暮らすこと」を掲げてオーガナイズサービスを行う。マスターライフオーガナイザー®(協会認定講師)、ライフオーガナイズファシリテーター®インストラクター。二児の母。

【関連リンク】
OPT LIFE(公式サイト)
一般社団法人日本ライフオーガナイザー協会

◆執筆担当者紹介◆

佐藤優子(フリーライター)。札幌育ち。市内の求人情報誌で編集・取材・執筆の基本を覚えて、独立。北海道のものづくりや書店・出版社を応援。伊丹十三と翻訳家の岸本佐知子さんのエッセイ、野田秀樹の芝居が大好き。文章も暮らしも「むずかしいことをやさしく」(by井上ひさし)でいきたいです。

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